退職代行を使って「引ぎ継ぎなし」でやめても違法ではない?

2020年12月16日

退職で一番面倒なのは「引き継ぎ」ではないですか?

引き継ぎ先が仲のいい同僚ならまだしも、新人だと大変ですよね。

「ズルズルと引き継ぎ期間を延ばされて、結局半年以上も会社に残ることになってしまった」

という話も珍しくありません。

そもそも、引き継ぎは退職者の義務なのでしょうか? 退職代行を使うことのメリットは「すぐ辞められること」ですが、それって違法ではないんでしょうか。

退職代行を使う場合に気を付けたい「引き継ぎの義務」について紹介します。

 

【この記事で解消できる疑問】

 

「引き継ぎの義務」は法律上ない

退職代行を使う前に「引き継ぎ」の義務を果たすべき?

結論を言うと「退職するときは必ず業務を引き継ぎしておくこと」と明記された法律はありません。

過去に「引き継ぎをしなかったから会社に損害を与えた」と裁判所で判断されたこともありません。引継ぎは完全に会社側の都合でしかなく、働く人には何の関係もないんですね。

 

「信義誠実の原則」に注意

ただし注意しておきたいことがひとつあります。

民法(あらゆる契約関係を規定する法律)に規定されている「信義則」というものです。

 

民法第1条2項

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

 

これを会社との雇用契約にあてはめると

「契約を結んだ以上はお互い誠実に、信頼を裏切らないように行動する義務がある」

(もし裏切り行為があった場合は損害賠償できる)

と解釈できます。

引き継ぎをしないこと、あるいは退職代行を頼むことそのものが「勤務先からの信頼を裏切る行為」だと指摘されると、損害賠償を請求される可能性があります。

 

会社の言い分を証明するのは難しい

実際には、引継ぎをしなかったこと=会社の信頼を裏切る行為だと訴えるのは、プロの弁護士でも難しいことです。

引き継ぎをしなかったことと会社が被った損害との「因果関係」を証明しなければならないからです。損害というのは、辞める人本人の仕事ぶりで得られるはずだった利益のことではありません。

 

例:営業成績のいい社員が退職代行を使って即日退社する場合

「きちんと取引先情報や営業テクニックを他の社員に伝えてなかった!

これからもうお得意先から発注がもらえないかもしれない。だから損害賠償をする」

→将来のお得意先からの発注は、会社を辞めた時点での損害ではありません。したがって、会社の言い分を法的に通すことは出来ません。

 

これが事務や専門職であっても同じです。

部長や役員クラスの仕事をしている社員でもないと、会社に損害があったとはとても証明できないんです。

 

「悪質な引き継ぎ未対応」以外に訴えられることはない

引き継ぎなしで退職代行を使うと訴えられる?

とはいえ、引き継ぎなしの即日退職で損害賠償を提起されている事件はあります。

既に会社の利益として計上されていた契約が、退職したことでフイになってしまった例です。

 

ケイズインターナショナル事件(東京地裁・平成4年9月30日

社員Aが、縁故による紹介でB社に入社。

1週間後に突然病欠し、そのまま退職した。

退職前にB社取引先と1,000万円の契約を結んでいたが、A退職後に契約が解除されてしまった。

AはB社に200万円の賠償をする念書を提出していた。

 

この裁判では、退職したAにB社へ70万円の支払いが命じられています。

この裁判の争点は「1,000万円の契約」ではなくて「200万円の損害賠償の約束」です。加えて、Aの態度が攻撃的であること・根拠のない言いがかりをつけて「B社を恐喝で訴える」などと脅すような内容証明を送ったことが、判決文で取り上げられています。

つまり「退職した人の態度が悪質だった」からこそ、損害賠償に発展しているんですね。

この裁判を踏まえると、損害賠償されるケースはごく限られています。

 

引き継ぎなしで損害賠償されるケース

  • 悪質な引き継ぎ拒否があった
  • 勤務先とのあいだで賠償に関する約束をしていた
  • 会社に対して無断欠勤などの迷惑行為・乱暴な発言をした

 

退職代行を使って「会社と関わらずに今すぐやめたい」と考える人には、ほとんど当てはまらないのではないでしょうか?

一旦引き継ぎに応じたのであれば、なおさらですよね。引き継ぎなしで実際に損害賠償に至るのはこんな珍しいケースだけで、ほとんどの場合訴えられることはないのです。

 

退職代行を使ったこと」で訴えられる可能性はある?

「退職代行を使ったこと」で訴えられる可能性はある?

退職代行を使って一方的に退職すること=信義則に反する」というのも、筋の通らない話です。どんな方法であれキチンと退職連絡をしていれば、訴えられることはありません。

民法628条で「やむを得ない事情がある場合はすぐに退職できる」ことも保証されています。

法律の知識があって対応力のある業者なら、勤務先からの伝言を依頼主に伝える役割もしてくれます。

「勤務先からの連絡をシャットアウトしているわけではない=一方的な退職とは言えない」という状況を作り上げることが出来るので、会社の言い分は通りません。

 

退職代行のまとめ

引き継ぎなしで損害賠償を請求される場合は、ごく低確率です。

引き継ぎの義務はそもそもありませんし、会社に訴えられるのは「賠償について金額まで約束している」場合のみです。無断欠勤ではなく退職代行を通じて連絡しているので、いわゆる「信頼を裏切る行為」とはとても言えません。会社との橋渡しをしてくれる正規の退職代行に依頼して、円満な即日退職を目指しましょう!

 

このサイトを運営している人

こんにちは!
「退職代行は違法!?」運営者のミーアです。
元プログラマー・現ブロガー。IT会社を辞めて1年です。
月残業80時間に耐えかねていたころ、退職代行というサービスを知りました。
僕自身が「怪しいな?」「違法じゃないの?」と疑問に思って調べたことをまとめています。