退職代行は犯罪なの?代行業者にできない事とは
退職代行は詐欺・犯罪じゃないのか?という疑問は常にあります。
「自分で退職を言い出せない人の弱みにつけこむ」というイメージを持つと、真っ当な意見のように感じますね。
退職代行そのものに犯罪性はありませんが、なかにはお金をだまし取ったり違法行為をしたりする業者も存在します。
これから利用しようと考えている人は、自衛しましょう。
【この記事で解消できる疑問】
- 退職代行は犯罪行為なの?
- 業者や利用者が摘発されることはあるの?
退職代行とは?
そもそも退職代行とは「退職したい旨を会社に伝言してくれる」サービスです。
業者という橋渡し役が現れることで、勤務先が退職に同意してくれやすくなることがメリットです。退職代行を使うケースとしては、こんなものがあります。
退職代行を使うケース
「辞めたいと以前から伝えているのに、繁忙期を理由にのらりくらりと交わされる」
「退職届を提出しようとしたら、泣き落としに遭って辞めさせてもらえない」
「職場の人間関係がどうも気まずくて、辞めたいと言えない」
「試用期間中だけど、何となく合わないと感じる」
転職市場が売り手優位になって、いつまでも会社にしがみつく必要はすっかりなくなりました。
一方の企業側には、終身雇用・滅私奉公の考えが抜けきっていません。話の通じない会社に対する「最終手段」として人気です。
退職代行=犯罪組織?
退職代行のやる伝言サービスという仕事に、免許や許可は不要です。
問題は「公序良俗に反する業務」にあたるかどうかです。ひと昔前は「退職は責任を持って自分でやること」が常識でしたし、代行業務に違和感が覚えるのも仕方のないことです。
「公序良俗に反する業務」には愛人契約や高利貸しが含まれますが、これまで退職代行サービスが訴えられたケースはゼロです。
犯罪ではなく、かといって法整備が進んでいるわけでもない…。世の中に求められるまま増えてしまったのが「退職代行」の現状です。
退職代行で何をすると詐欺・犯罪になるのか
退職代行が犯罪かどうかを判断するポイントになるのは、勤務先との会話内容です。
辞めたいことを「伝える」だけならいいのですが、有休消化や賠償を「要求」することはNGです。これは弁護士にしか許されていない行動で、退職代行業者が犯してしまうと「非弁行為」という無資格業者として摘発されてしまいます。
退職代行業者A社
「代理でお電話をしました。有給消化した上で退職したいとのことです」
→ 〇(合法)
退職代行業者B社
「代理でお電話をしました。有給消化した上で退職したいとのことですが、当然の権利ですよね。もし拒否されるなら、就業規則を確認させていただけますか?」
→ ×(違法)
A社・B社ともに同じことを言っているように感じますよね。合法と違法の線引きは難しいのです。犯罪や詐欺だったり、それに限りなく近い行為は他にもあります。
禁止行為①「給料未払いトラブルについて話し合う」
約束通り支払われていない給料がある場合、退職代行に伝言をお願いすることそのものが難しいと言えます。
給料未払いトラブルは法律問題のひとつです。話題に触れることそのものが「専門家(弁護士)のみ許されていること」で、退職代行業者では対応できません。
退職代行業者B社
「代理でお電話をしました。まだもらっていない給料があるそうですが、払ってもらえますか?」
→ ×(違法)
どうしても給料未払い問題を解決したいと思うなら、弁護士に相談しましょう。
禁止行為②「退職関連の書類も代筆してもらう」
退職手続き関連の書類も、代行業者では扱うことが出来ません。
書類を代わりに作ってもらう行為は、委任契約をした場合にしか許されていないからです。やはり弁護士にしか許されておらず、非弁行為扱いになってしまいます。
禁止行為③「依頼者の親だと名乗る」
退職代行業者に「親」と名乗ってもらうことは出来ません。
詐称を使って辞めると、会社に対する裏切り行為=就業規則違反として解雇扱いになってしまう可能性があります。
もし会社が「肉親からの電話だからこそ退職を認めた(業者からであれば認めなかった)」という主張をすると、業者・利用者ともに詐欺として訴えられてしまいます。
違法行為を「できる」と言う業者に注意
退職代行の利用を検討し始めたとき、一番気になるのが「お金をだまし取られないか」ということですよね。
前払い制でお金だけ受け取って業務をしない業者は、ここに挙げた違法行為も簡単に請け負います。仮に仕事をやってくれたとしても、退職に失敗した場合や訴えられた場合の責任はとってくれません。
退職代行に出来ない事を理解しておくのが、詐欺被害防止の近道です。